三つとも「リフト」として案内されますが、働く層が異なります。そしてどの層で引き上げるかが、結果の持続を決めます。それぞれが適さない場合まで含めて整理します。
加齢で変化するのは皮膚だけではありません。皮膚の下にあるSMAS(表在性筋膜)、深層の脂肪、そしてそれらを骨に繋ぎ止めている支持靭帯が一緒に下垂します。頬がこけ、ほうれい線が深くなり、フェイスラインが崩れるのはこのためです。
ここから実務的な結論が出ます。下がったのが皮膚の下の層であれば、皮膚を引いても本質的な改善にはなりません。皮膚だけに張力をかけると、顔は平坦になり、負担は切開線に集中し、数年で再び緩みます。問題は「どれだけ強く引くか」ではなく、どの層が引き上げを担うかです。
「引っ張るのではなく、本来あった位置に戻す。」
SMASと深層組織を支持靭帯から剥離し、上外方のベクトルに沿って再配置します。深層が荷重を担うため、皮膚は張力をかけずに縫合できます。明らかな中顔面の下垂、深いほうれい線、崩れたフェイスラインが対象です。
切開を短くし、下顔面とフェイスラインに集中する方法です。剥離範囲が狭い分、得られる矯正量も限定的です。初期〜中等度の下垂で、全体ではなく特定のラインが気になる場合に検討します。
吸収性のコグ(突起)糸で皮膚・皮下組織を引き上げます。深部を剥離しないため回復が早く、同じ理由で持続は相対的に短くなります。軽度のたるみ、あるいは手術前の第一歩として選ばれます。
※ この三つは同じ施術の松竹梅ではありません。作用する組織が異なるため、選択はどの層が下垂しているかから決まります。予算や回復期間だけで決めるものではありません。
同じ「フェイスリフト」でも、扱った層が違えば結果は変わります。
SMAS・深層で引き上げると、張力は皮膚ではなく強靭な筋膜組織にかかります。ここから二つのことが導かれます。切開線が引き伸ばされずに縫合されるため、傷あとは耳の輪郭に沿って目立ちにくく落ち着きやすいこと。そして矯正を支えるのが、皮膚ほど伸びない組織であることです。ディーププレーン術式の予後解析では持続が5〜15年と報告されています(Jacono AA, Aesthetic Surgery Journal, 2014)。ただし加齢自体は進行するため、永久的なフェイスリフトは存在しません。
この層で操作する解剖学的根拠はMendelson BC(Plastic and Reconstructive Surgery, 2008)に記載されています。術式の詳細はデュアル・ディーププレーン・フェイスリフトのガイド、眉・上まぶた・額の下垂については眉下切開・上眼瞼・額リフトのガイドをご覧ください。
| フェイスリフト(SMAS・深層) | ミニリフト | 糸リフト | |
|---|---|---|---|
| 種別 | 手術 | 手術・小切開 | 非手術 |
| 作用する層 | SMAS・深層 | 下顔面・限定的 | 皮膚・皮下 |
| 向いている状態 | 明らかな全体的下垂 | 初期〜中等度・部分的 | 軽度のたるみ |
| 持続(文献) | 5〜15年の報告 | フルリフトより短い | 相対的に短い |
| 回復 | 抜糸7〜10日/日常復帰2〜4週 | 同様・範囲は小さい | 数日 |
| 麻酔 | 静脈麻酔+局所麻酔 | 静脈麻酔+局所麻酔 | 局所麻酔 |
※ 一般的な傾向です。持続・回復・適応は個人の状態により異なり、診察で判断します。
当院がしばしばお伝えする四つ目の答えがあります。「まだ早い」です。進行していない下垂を手術すると、患者様が気づかない変化と、気づく傷あとが残ります。どの層が動いたか、そして十分に動いたかは、写真ではなく診察で判断します。
当院ではすべての手術を金承洙院長が最初の切開から最後の縫合まで自ら執刀し、一人の手術が終わるまで次の患者様の手術は始めません。
すべての手術と同様、以下が起こり得ます。診察時に詳しくご説明します。
糸リフトには固有のリスクがあります。糸の触知・視認、皮膚のひきつれ(ディンプル)、左右差、まれに露出や感染です。
なりません。作用する層が違います。糸は皮膚・皮下を吊り上げ、フェイスリフトはSMAS・深層を再配置します。下垂が深層にある場合、糸は一時的に覆い隠すことしかできません。
抜糸は7〜10日で、その頃からサングラス等で外出される方が多いです。日常生活は2〜4週で戻り、腫れの70〜80%は3か月ほどで落ち着き、輪郭は6〜12か月かけて完成します。個人差があります。
切開線は耳の前後の自然なしわと生え際に沿って設計します。深層で引き上げるため縫合部に張力がかからず、これが傷あとの経過を左右する最大の要因です。体質や喫煙も影響し、傷あとが全く残らないと断定できる医師はいません。
抜糸が終わり、執刀医が渡航可能と判断するまで滞在をご計画ください。詳しくは下の「海外からお越しの方へ」をご覧ください。
手術のために韓国へお越しになる方が最初に知りたいのは、たいてい「何日滞在すればよいか」です。
実際の症例をご覧ください — 患者様の写真レビュー(本文は韓国語)。